やぶにらみ論法115号   「自分の番・いのちのバトン」 堀田義夫   

やぶにらみ論法115号   「自分の番・いのちのバトン」 201908

 私にとって夏場は地獄の季節です。最近、仲間たちが慌ただしくあの世に旅立った。

 人はこの世に生まれて、いろいろ学び、歳を取っていく、歳を取ると病が心配になる、そして確実に死を迎える。宝くじなどと違って100%当たり籤です。外れ籤などない。

 ある学者の説によると、父と母で二人、父と母の両親で四人、そのまた両親で八人、そのまた両親で十六人、こうして数えていくと、十代前で千二十四人、二十代前ではなんと百万人を超すんだそうです。そうした遺伝子を受け継いで、いま自分の番を生きている。

 

 四字熟語に「温故知新」というのがある。前に習ったことや、昔の事をよく復習・研究することで、新しい知識や見解を得られる。

 あるいは昔の事柄の中にこそ、新しい局面に対処する智慧が隠されている。と解説されています。

 私が写真という趣味にのめり込んだのは、昭和32年(1957年)に恩師から推薦されて、明治41年(1908年)に創設した写真団体・東京写真研究会に入会してからだ。

 そして25年在籍した。東研に限ったことではないが、昔の良さを知っている人たちは伝統を維持し、波風の立たない前号踏襲を望む。ところが存在感の薄い若い連中は革新を主張する。この例のように伝統重視で前号踏襲を支持する長老たちと意見が合わず、1983年、東京写真研究会に訣別した。 

 その頃私に大きな影響を与えてくれたのが、第一次南極探検隊の隊長だった西堀栄三郎さんの講演だった。

 「新しいことをやるとき、いろいろのことを考え、調べる。そうしたことを詳しく知れば知るほど、やらない方がよいという結論に結びつく。石橋を叩いて安全を確認してから決心をしようとしたら、おそらく永遠に石橋を渡れない!。とにかくやってみること!、やる前から諦める奴はいちばんつまらない人間だ!、やるときめて、どうしたらできるかを考える。失敗したらやり直せば良い。失敗や混乱を怖れて、前号踏襲といった消極的な姿勢からは新しい智慧は生まれない!」といった西堀栄三郎氏の論旨は目から鱗だった。

 私は組織が人を動かしている写真団体に興味を持たない!。必ず「伝統」という厚い壁が立ち塞がる。人が組織を動かし、時代を容認し前向きな研究の場を求めてきた。そして、デジタルフォト研究会を立ち上げたのです。

 名誉欲に駆られて誰からも承認されたいという欲望を断ち切る勇気を持ち、同僚を裏切って嫉妬を買ったり、先輩が眉をひそめる言動があってはならない。

 同僚から嫉妬されれば、足を引っ張られる。先輩から嫉妬されれば、蹴落とされる。そう考えながら、自分の番・いのちのバトンを意識して暑さと戦っています。

生老病そして、今!

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by yumehaitatu | 2019-09-07 10:10 | やぶにらみ | Comments(0)

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