やぶにらみ論法 105号 堀田義夫  「点数は後からついてくる」   

やぶにらみ論法 105  「点数は後からついてくる」  堀田義夫

 私の写真仲間に中谷はるみさんという女性がいる。この人は山梨県出身で、いまふるさと「武州・山梨」をモチーフに精力的に取材を続け、山梨県の観光大使も務めている。

 この夏、日本一過疎化が進んでいると報じられた地域をモチーフにした写真展が山梨県・早川町茂倉集落で開かれた。その展覧会の設営その他で協力した伊藤写真の社長・堀口彰洋さんに案内されて訪れました。

 展覧会に合わせて「守られて 山梨県・武田の里」という豪華な写真集も発行されました。山梨県知事も巻頭言を寄せています。私は今が“旬”の作家の一人だと思っている人です。

 その人が久しぶりに我が家を訪れて四方山ばなしをしていたのですが、そのなかで次回の作品発表のコンセプトにその地方の方言を織り込んだ仕事がしたということを話していました。

 その動機となったのは、彼女の展覧会を見にきた郷土史家の学者が、中谷さんの失われていく人間の記憶を次世代に残そうとする姿勢に共感して、分野は異なりはすれど同じように記憶から遠ざかる地域の方言を研究している自分の姿と重ね合わせ映像作家と歴史学者とのコラボレーションを提案されたという話でした。 

 こうしたことを考えると私は、写真という趣味を持ったことで、中谷さんは新しい出逢いのチャンスを手にしたと思うのです。出逢いの機会を多く持てば、優れた人財との出逢いが期待できます。そうしたことでいままでの仕事が更に深く大きく次の仕事へとつながっていくのだと思うのです。

 中谷さんは更に言葉をつなぎ「こうしたことが成功するか、失敗するか解りません、とにかくやってみます。いい結果を期待するのではありません。やった結果、その点数は後からついてくると思うんです」 とその前向きな姿勢には頭が下がりました。

 私は相田みつをさんという詩人の作品を指針に生きようとしてきました。その人の作品の中に「点数」というのがあります。

“にんげんはねぇ 人から点数をつけられるためにこの世に生まれてきたのではないんだよ にんげんが先点数は後”

 中谷さんの話は忘れかけていた私の記憶の中のこの作品を思い起こさせてくれました。巷間「専門バカ」という言葉があります。さしずめ私なんかは写真バカといわれる部類です。ですが、15年前デジタルフォト研究会を立ち上げようとしたとき従来の写真仲間だけではなく、いろいろの人たちに集まってもらい「共育」という信条の基に、いろいろと学ぶことができる機関を作りたいと思っていました。

 そのためには、デジタルフォト研究会という組織があって人が集まるのではなく、優れた人財がいることが魅力だといったデジタルフォト研究会という組織作りを望んだのです。幸いなことに順調に成長してきたと思います。

 これからも“井の中の蛙”で狭い枠組みの中でチマチマとその組織の中の常識に縛られた活動ではなくグローバルな目線で運営を考え、人財の育成や確保に努めることが出来たら良いなぁーと思っています。
「夕照の池」


by yumehaitatu | 2018-01-06 17:00 | やぶにらみ | Comments(0)

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