カテゴリ:写真雑学( 64 )   

効果的なピント合わせA 渡辺澄晴   

 花は最も人気がある被写体といっても過言ではないでしょう。その人気の原因は、美しい。身近なところで写せる。温室や花やさんを含めれば世界中の花が一年中楽しむことができる。クローズアップしてフォルムの意外性を表現できる、などが考えられます。

 ハイキングや旅行で花と出合ったとき、先ずその花の生息環境、つまり周囲の状況を写し込んでこそ、その場の雰囲気が表現されるわけです。高原や湿原・花畑は、背景の山や雲・樹木など周囲の環境にこだわって、風景として作画することを心がけましょう。

 この風景に適したレンズは、昨今のデジタルカメラに常備されている広角から望遠までの焦点距離をもつズ-ムレンズが1本あれば十分です。特に風景写真は、広角レンズで広々と写すのが一般的です。基本的には画面の手前から奥までしっかりしたピントのパンフォ-カスを心がけてください。そのパンフォ-カスにするには過焦点距離を知ることす。

 過焦点距離とは、ある風景の一点にピントを合わせると、その前後の物もピントが合っているように見えます。これを被写界深度といっていますが、いま、近距離の被写体から遠方へとピントの位置をズラしていくと、ある距離でその被写体から無限遠までピントが合ったように見えます。
 この距離を過焦点距離といいます。そして手前の深度は過焦点距離の1/2になる性質があります。これらの関係は計算で出すことができます。

過焦点距離は
(焦点距離×焦点距離×30(単位mm))÷絞り値
例えば焦点距離35mmで絞りf11のときの過焦点距離は
(35×35×30)÷11=3.34。

 つまり過焦点距離は約3.4mとなります。この距離にピンとを合わせれば、前方の深度は過焦点距離の1/2ですから、この場合は前方1.7mから無限遠までのパンフォ-カスが可能になります。このことからパンフォ-カスは焦点距離が短いレンズほど、そしてレンズを絞るほど効果があることが分かります。話しが少し難しくなりましたが、以上のことを踏まえて次回はもっと噛み砕いて効果的なピンと合わせの方法をお話します。
作例「群生する水芭蕉」
28mmレンズを11に絞って撮影。この場合の過焦点距離は約2mです。したがって、手前1mからパンフォーカスになります。
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by yumehaitatu | 2008-07-05 23:18 | 写真雑学 | Comments(0)

露出補正と月の撮影   


露出補正と月の撮影    渡辺澄晴

 露出は被写体の明るさに対し、ISO感度とレンズの絞値、シャッタースピ-ドで決まります。
撮影に際し先ずISO感度を200か400にしておけば、普通の風景や人物などはカメラの自動制御機能により、適正露出が得られます。

 しかし前回お話したように、背景によっては露出補正をしないと満足な結果が得られないことがあります。
 露出補正とはカメラが制御する露出を自分の好みで変える事で、全体に明るいト-ンの(ハイキ-調)や全体に暗いト-ンの(ロッキ-調)など、作画意図に応じた露出表現をしたい場合などにも使います。
 つまり適正露出とは自分で満足できた露出であり、見る側にも納得してもらえる露出が適正露出なのです。

 いま日本の探査衛星《かぐや》が月を回り月の表面を克明に調査しています。月や太陽はカメラの撮像面にレンズの焦点距離の100分の1に写ります。
 月を大きく写したいときは少なくも焦点距離500mm以上の望遠レンズが望まれます。さて問題は月を撮るための露出ですが、満月ならば日中野外で撮る同程度の露出で容易に写せます。

 カメラをISO200にセットすると、絞り16でシャッタ-速度は1/125~1/250ですが半月では絞りを11に、三日月ではさらにもう一段程度露出を加えます。
 月食の場合も普通の月の撮影と同じですが、月の表面のディテ-ルを綺麗にだすには露出過度にならないように注意してください。
 500mm程度の望遠レンズでは撮像面に5mmしか写りませんから、カメラをオ-トにセットしたままですと月は露出過度になり白い球になってしまいます。
 月の撮影は必ずマニュアルモ-ド(手動)で写します。月の光は食分が進むにしたがって暗くなるので露出を増加する必要があります。満月の露出を1とすると、各食分にしたがって概略下記のような露出倍数を必要とします。これを参考にして露出を補正してください。
ISO 感度を400に設定すると満月なら絞り22で1/250~1/500で写せますが、月が皆既になった時は絞り5,6で1/15程度になります。
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by yumehaitatu | 2008-06-07 22:34 | 写真雑学 | Comments(0)

聞くは一時の恥  露出(ろしゅつ)  渡辺澄晴   

 カメラで撮影した画像の明るさは、シャッター幕が開いている間に画像素子が受けた光の量によって決まります。この量を「露光量」といい、絞りやシャッタースピードなどを調整して露光量を決めることを「露出を決める」といいます。これはあるカメラの使用説明書から引用した露出の定義です。
 普通の撮影ならISO感度を設定して、カメラをオートにセットしておけば、絞りとシャッタースピードは、適正露出になるように自動で決まります。しかし、全てはそうはうまくいきません。
 被写体には反射率が3%しかない黒いものから、90%も反射するものまで多種多様です。カメラはその中間値をとった18%の反射率を基準としているため、18%以上の反射率のものは露出不足になり、18%以下のものは露出過度になります。
 写真のような紅葉を、明るい空を背景に写すと、必ず露出不足になり、綺麗な色は望めません。このような時は露出を(+)に補正するか、露出機構をマニュアルにセットするなどして露出を調整します。
 このことはカメラの使用説明書に載っていますが、おそらくカメラを持って間もない方には、その露出の項目を読んでも何のことやら理解できないと思います。
 それには先ず写真のような明るい背景のものを撮ってみましょう。「なぜ、こうなるのか?」、「ならば、どうすればいいか?」。写真は失敗して覚えるもの、聞くは一時の恥。聞きましょう!聞いてください。
 作例は,(+2)に補正して撮りました。デジタルは多少の露出過不足はプリントの際、自分で簡単に補正することができます。
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by yumehaitatu | 2008-05-03 22:41 | 写真雑学 | Comments(1)

写真雑学1   

聞くは一時の恥             渡辺澄晴
 いろいろなものが自動化してきた時代、カメラも例外ではなく、ただ押せば写る式の便利なものになりました。交換レンズもカラ-時代に即応して改良され、カメラと精巧な情報の交換を行いながら素晴らしい画像を作ってくれます。
 しかし、『いくら便利なカメラや優秀なレンズでも、すべてが万能ではありません。それらの特徴を知り、それをマスタ-してこそ・・・』
 これは、1980年にフォトア-トから出版した私の著書、《一眼レフと交換レンズ》の一文です。この本に対する宣伝文句は、新時代に挑戦する写真入門書!・写欲満点!・レンズの向こうに21世紀が見える!でした。
 その21世紀に入って8年になりました。そして写真界の現状はフイルムからデジタルに移行しています。この時期を逃しては時代から取り残される。そんな危機感に背中を押され、自称!写真雑学者?としては、その名に恥じぬよう老骨に鞭打ち、新時代のデヂタルを勉強している昨今です。
 昨年の秋、北九州のアマチュア団体から撮影指導と、写真教室に招かれました。その夜の懇親会の席で60代の男性から『先生!露出ってなんですか?』。酒に酔っての冗談ではなく、カメラを持って間もない彼にしてみれば真面目な質問だったのです。押せば写る便利なデジタルカメラでは、露出など知らなくても写真は撮れます。しかし基礎知識を知っておけば、必ず作画の手助けになります。
 よりよい作品を作るために、知らないことはお互いにどんどん聞き合いましょう。次回は作例を交えて、その露出のことに触れたいと思います。

by yumehaitatu | 2008-04-06 18:23 | 写真雑学 | Comments(0)