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やぶにらみ22   

堀田 義夫の「やぶにらみ論法」(22)

~夢を育てる~
          

  今朝の新聞に(平成18年1月14日付け)ニコンが銀塩カメラから撤退するという記事が載っていた。  この記事の中に見落とせない現象が指摘されていて興味深い。それは巷間、秘かにニコンがアナログ  カメラから撤退するという噂が広がると、従来機種の受注増で在庫が底をついて量販店では悲鳴を上げている。というのである。
 一方で、暫く前から量販店の店頭からアナログ関係の感光材料が品薄になり、特にモノクロ印画紙は異常なほど高騰した。カメラの生産量の90%をデジタルカメラが占めているから、アナログ用品の需要が 少なくなっているからだろう。
 一面矛盾したようなこの現象は不思議でも何でも ない。生産中止が決まったら、購買者が増えたというのは、「写真が好き」なのではなく、「カメラが好き」なので、俗に言われる「カメラマニア」という作品を生み 出そうとすることとは無縁な位置にいる人たちなのである。
 またアナログ関係の感光材料に至っては採算性を無視してまでも、生産を続けなければならないメーカー側の努力に同情せざるを得ないし、売価の高騰も仕方ない。こうしたことが「時代の流れ」というものだろう。
 ところがそれでもアナログにこだわり続けている人たちがいる。その信念を立派と評価すべきか、ただ単なる頑固者と思うべきかは別として、これは「アナログマニア」と称すべき人種なのである。
 写真を表現のメディアに選ぶとき、それがデジタルであろうとアナログであろうと、便利だと思う方を使えば いいのであって、本質的な問題ではない。
 ただ、デジタルは便利だけど、一番大切なのは、いい写真がとれるかどうかである。そのためには、まず、  写真を知ることが第一だ。ライティング・露出はもちろん、写真に対する知識と技術がないとデジタルの良さも 生きてこない。そのための勉強も怠ってはいけない。
 それともう一つ大事なことは、「自分の夢を大切に  育てる」ことだ。「夢」にはあこがれと感動と志がある。 そのためにはアナログといったいつもの道を離れて、 デジタルという森に分け入ることもよいだろう。デジタルという森の中には不思議で尊い夢が隠れているのです。それを見付け出そうではありませんか。
 パブロ・ピカソは「時代、時代にそれぞれ優れたアートが生まれるがそれ自体は進歩とは言わない。もし進歩だと思うなら、それはバリエーションによるものだ」と言っている。
 アンリ・カルチェ・ブレッソンにしてもエドワード・ウエストンにしても、また、土門拳や奈良原一高といった人 たちの仕事も、時代を超えてその価値観は揺るぎない。だが、いまデジタルといったバリエーションを手にした我々は新たな挑戦への機会を与えられている。そうしたチャンスを生かし、学んで、それぞれの「夢」を大きく育てようではないか。

by yumehaitatu | 2006-03-04 00:35 | やぶにらみ | Comments(0)