堀田義夫のやぶにらみ 43   

実力主義は間違い  堀田義夫

ある人に頼み事をしたら、「わたしには実力がないから、そんな事はできませんよ」と断られた。そこで「実力……」ということを改めて考えてみた。
 確かに「実力」がなければならない世界もある。プロ写真家だったら、仕事量の豊富な人が実力者といわれるだろう。ところで、アマチュアの実力とはなんなのだろう。
 あの人は写真歴が長い、写真関係の仕事に従事していた、あるいは○○会の会員だとか、個展を何回開いた、あるいはどこそこの公募展やコンテストに入賞しているといったことが「実力」と勘違いされてはいないだろうか。
 わたしはアマチュア写真の世界では「実力主義社会」は間違いと思っている。もし実力主義を徹底したら、仲間は全てライバルとなる。そうするとベテランは、新入りにノウハウを絶対に教えなくなる。なぜなら、教えたら最後、自分が追い落とされるからだ。
 いつも敵に囲まれて、穏やかな心では生きていけない社会になってしまいます。究極の実力主義は強食弱肉のケダモノ社会のように醜いものになってしまうからです。
 もう一つ、写真の分野もローカリズム(個別化)があるべきだと思うのです。たとえば信州に旅すればコスモス街道があり、北海道に行けばヒマワリが北の大地を覆い、富山県の砺波に行けばチューリップがその美を競う。チューリップは美しいからといってチューリップで統一してはいけないのです。写真もアマチュアは個別化するべきです。
 そのために写真に関する専門的知識の習得もありましょうが、そのほかにも多くの知識や知恵が求められます。それを仲間に求められる体制にできたら最高です。そしたことが「教育」ではなく「共育」という本会の趣意に沿うことになるからです。
 「わたしは実力がないから……」というが、人にはそれぞれ生まれも育ちも違い、生きてきた生活空間の伝統、文化、情緒といった経験も違います。どんな基準で自分に実力がないかと判断したかが問題です。
 人々がある種の事を目的に集まり、その仕事を成し遂げようとした時、お互いを尊重しあいながら、それぞれの人の持ち合わせている実力、すなわち個性とか情緒をぶつけ合うことこそ大事だと思っています。仲間たちの普遍的価値観の醸成に荷担したり、支援できる人がほんとうの実力者で、写真の上手下手なんか「実力」とは無関係なのです。
 来年は創設6年目を迎える。「実力がない!」なんていわないで、本会のためにお骨折りを頂ける方の出現に大きな期待を寄せています。
<終末の街>
f0018492_055642.jpg

by yumehaitatu | 2007-11-11 00:50 | やぶにらみ | Comments(0)

<< 夢配達5日目 夢配達 4日目 >>