堀田義夫の「やぶにらみ論法」(38)   

~価値観が同じでないと楽しくない~
 田部井淳子さんといったら、きっと記憶にあるかと思います。1975年、女性としてエベレストに初登頂した方です。
 その田部井さんが著書「山を楽しむ」の中で、山の楽しさは誰と登るかで全く変わる。「自慢話をしない」「勝手な行動をしない」といった協調性はもちろんだが、もっと大事なことは、「同じ価値観」を持った人と一緒だと楽しさが倍増する。と書いています。
 わたしはこの文章に接したとき、なんとなく自分の歩んできた写真環境と重なり合う気がしました。
 といいますのは1953年(昭和28)東京・自由が丘の駅前に「ミヤマ」というカメラショップがありました。そこに集う人たちと「瓢蟲社(ひょうちゅうしゃ)」という写真研究会を立ち上げたのです。それから54年の歳月が流れましたが、いまでも活動しています。というのも、私は「瓢蟲社」で写真の楽しさに目覚めさせられたのだから、晩年は瓢蟲社で終わろうと考えていたので、5年程前に「第5期瓢蟲社」を再興したのです。
 「瓢蟲社」というと、たいていの人は「それってなんのこと?」と必ず聞いてきます。辞書で調べてみれば「テントウムシ」と出てきます。当時の感材はあまりよくなかったので、「おてんとうさん」が出ていないと写真が撮れない。写真好きの連中はテントウムシみたいなもんだ。ということで命名されたのです。
 ここで私は、「自由研究を主となす。故に教師なし、先輩あり、教習なし、研究あり」ということを学びました。黙っていてはなにも教えてくれません。しかし実験したり、研究したことには先輩は親切にいろいろアドバイスしてくれました。

 このことはいまでも瓢蟲社の基本姿勢として貫き通しています。アドバイスはあっても指導はしてくれないのです。今年1月から半年間、現メンバーによる「リレー個展・三浦半島ぶらり紀行」を横須賀の画廊喫茶で開催したのですが、それぞれの作家が実にバラエティーに富んでいて個性的で、魅力的な仕事をしているということで、観客には大好評でした。
 もう一つ学んだことに「意見は言うべし、決定には従うべし」ということです。なにも言わないで渋々従われても結束を欠きます。意見を述べ合い、価値観は同じになるようにしなければ駄目です。
 価値観を共有できるなら「入る人を拒まず」、価値観の異なる人なら「去るを人を追わず」という姿勢が大切で、決して強要してはならないと戒められました。
 いま、デジタルフォト研究会ではそうした瓢蟲社で学んだことが生かされて運営が図られています。
「この指とまれ」ということは、決して強要はしない。同じ価値観の人たちが集まって何かをしようというもので、そうして行われた撮影会が回を重ねるごとに参加者を増し、「フォトドリーム展」へとつながって成功を収めたと思っています。
 田部井さんの著書「山を楽しむ」から、価値観が同じでないと楽しくないということを読み取り、それは写真の世界でも同じだと確信した。これからも「価値観」を共有できる人を中心に当研究会が発展することを祈念しています。

by yumehaitatu | 2007-06-05 21:00 | やぶにらみ | Comments(0)

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