堀田義夫の「やぶにらみ論法」(35)~〈有利〉より〈好き〉を選ぶ~   

堀田義夫の「やぶにらみ論法」(35)
~〈有利〉より〈好き〉を選ぶ~

 わたしの周辺の写真好き仲間たちと語り合って、「リレー個展」を開催している。仲間の好意でトップバッターの重責を担わせていただいた。会期中できる限り会場に詰めて、いろいろな方たちと写真について語り合うことができて、非常に楽しかった。そしていろいろのメッセージを戴けた。
 そうした中で、いちばん応えたのが別居している長男の批評だった。
「歳をとったせいなのか、病気のせいか? 正直ちょっとがっかりした。何となく計算尽くで作られた作品のようで、いままでのようにわくわくするような感動が伝わってこない。どうもそこには好きな作品と、場所やその他を考えて有利な作品とを天秤にかけているように思える。」というのである。〈好き〉と〈有利〉を区分けして使った息子の言葉にハッ!とした。
 息子はサラリーマンである。だから常に自分の行動は何事も会社にとって、自分にとって「有利」ということを優先して動いている。他社に先駆けて製品開発をする場合でも「好き」だからではなくどう行動したら、考えたら「有利」かで判断する。いくつかの選択肢があれば、「好き」で選ぶのではなく、どちらが「有利」かを考えて、絶対に「好き」ということでは選ばない筈だ。
人間関係においても、鼻持ちならない上司に対しても我慢しなければならないし、人脈上、自分にとって「有利」な方に与(くみ)するのである。

 子どもの頃から「道ははじめからあるのではない、歩いたから道ができるのだ」という魯迅の言葉に心酔し、前衛写真家気取りのオヤジの仕事を見てきた息子には裏切られた想いがあったのだろう。
 その息子が年老いて好きな写真の道を歩むオヤジに、「いい加減にしたら……〈有利〉を選ぶのは現職のときだけでたくさん。そのあとは〈好き〉を選ぶ」のだといっているように思えた。
 
 現職を離れた趣味の世界は、〈有利〉を選ぶとろくなことはない。○○のコンテストに入賞を目指しているといった人は、そのコンテストの狙いが何であるかを考えて作戦を練る。その結果は審査におもねた作品を作ることになり自分を見失うであろうし、○○団体に加盟することによって実力もないのに自分自身の売り出しの具に使う。あるいは著名な人とその人脈につながることによって売名的価値を見いだそうとする。〈有利〉さを選べば、そうした欺瞞に満ちた世界に身を沈める結果になる。
 ゴルフ好きの友人が「俺は三度の飯よりゴルフが好きだけど、貴方にだけ毎日2ラウンドづつ、ただでやらせてあげるといわれたって、やらないだろうと思うよ。たまに仲間と連れ立ってやるゴルフだから楽しいんだよ。ゴルフも好きだけど、本当は仲間が〈好き〉なんだね」と語っていた。
 息子の酷評とからめて、〈好き〉を選べ!と教えられた気がする。好きなことを、好きなときに、好きな人とやれればこんな幸せなことはない。
というが、まさにその通りだと思った。

by yumehaitatu | 2007-02-27 22:40 | やぶにらみ | Comments(0)

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