やぶにらみ論法 堀田義夫 御輿人生   

御輿人生   堀田義夫

 「厳寒の雪国の写真を撮りたい!」そんな想いを西垣会長が会食の席で話したら、堀井裕子さんが青森の尻屋崎地方にいまも伝わる小正月の素朴な「餅つき踊り」と、「寒立ち馬」を撮影する企画があるから参加しないかと誘ってくれた。

 出発当日、東京駅に西垣・大嶋・堀田が顔を揃えたが、案内役の堀井さんがきていない、そして西垣さんに電話が入り、トラブルが発生したので指定の列車には乗れないので先に行ってくれという連絡が入った。一抹の不安はあったのですが仕方がありません、とりあえず新幹線で八戸駅まで先に行くことにしました。

 八戸駅では、「堀井さんから連絡があったので迎えにきた」といって、一昨年私たちが撮影でお世話になった顔見知りの某企業の役員の方が出迎えに見えて、すぐさま撮影ポイントに案内してくれました。

 その人は私たちが撮影している間に、次の列車に乗ったはずの堀井さんを再び駅まで迎えに行き、一時間遅れでやっと合流するといったハプニングがあって慌てましたが、勤めを休み、社有車を使って我々のため心を遣ってくれたことには恐縮しました。聞いてみると、社長さんも承知の上だという。

 このことを含めて私たちの五日間滞在中は、靑森県写真連盟、靑森コンタックスクラブ、靑森二科、鶴田写真クラブ、靑森テレビなどの方々には、撮影地の下見、その日の天候に見合った撮影地の選定、交通手段として車の提供などといったことで大変お世話になりました。

 そうしたことができたのは、前出に某企業の社長さんと書いたが、実は青森県下はもちろん東北地方では有名な、三八五ホールディングス代表・泉山元氏のお力添えがあったためだと知りました。

 その泉山社長が前出の方々と一緒に私たちを夕食に招いてくださった。いろいろ会話が弾む中で私は周辺を取り巻く人々との会話や、和やかさ、人脈の広さ、などを実感したので 「社長の生きざまは、御輿人生だと思いますよ」と感想を口にしたのです。

 社長はすかさず、「確かに周りから担がれていることは承知しています。そして僕のやっている行動から、周りに担がれていることも知らない御輿のような人生だと思うかも知れませんが、御輿は担ぐ人がいて、担がれる人がいなければなりません。担ぐ人がいなければただの箱です。御輿人生の基本は人との付き合いです。このことには心を砕いています。先生の一本の杖という本も読ませて貰いましたが、来る人は拒まず、去る人は追わずという信条には賛成です。だが、担ぐ人、担がれる人がいる中に、担ぐ振りをして、ただぶら下がっているだけの人もいます。そうしたことを見極めることは大切ですね」と語っていたのが印象に残りました。

西垣さんが「厳冬の雪国の写真を撮りたい!」と言った一言で、その御輿を担いだ堀井さん、その御輿を担がせたのが泉山社長、その社長の意向を汲んで堀井御輿を担いだのが青森県下の写真家たちと関係者の方々。そうした恩恵で、楽しませていただいた今回の撮影の旅は、かなりの強行軍だったが御輿人生を実感し、多くの教訓が得られた撮影行だったと思っています。いまからでも遅くない!これからは、人から担がれる御輿人生を心懸けなければならないと強く思いました。

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by yumehaitatu | 2017-03-04 17:00 | やぶにらみ | Comments(0)

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