やぶにらみ論法(94)  100点仕事と60点仕事   

100点仕事と60点仕事(94 2016/02/08

今年の抱負に、「生きているうちに 働けるうちに 日が暮れぬうちに」という相田みつをさんの詩を掲げた。

川柳に 「年老いて 飲み込み悪い 喉と脳」 というのがあったが、年を重ねるごとに,やらなければならない仕事を先送りにしてきたと感じたからだ。

 思いついたこと、やらなければならないことも若い頃に比べると、失敗しないように、人から認められるようにと思う途端に、だんだん臆病になってきた。

 ところがこの考えは誤りであることに気付いた。それは仕事はすべて100点を取らなければダメ!という妄想を持っていたからである。

 60点でも良い、その60点をたたき台に、残り40点は他人との議論を進めながら埋めていく、いわゆる他力本願の気持ちでやるんだと余裕を持った方がよいと気づいた。

 こうした考えをわたしの主宰する写真団体瓢蟲社の柱として「意見は言うべし、決定には従うべし」と織り込み済みと自分では思っていたが、実行がともなっていなかったと思った。

 人が議論をするとき、脳は交戦状態になる。このことは若さを保ち、少しでも惚けを遅らせる最も有効な方法であると思っているから大いに歓迎したいのだが、戦前の教育を受けた私らは、聖徳太子の「和をもって貴し」と教えられ、他人と協調する、仲良くすることを美徳と教育されてきた。だから無闇に人と言い争わないことを心がけた。

 ところが敗戦後はそうした風潮は影を潜めて、欧米風に自己主張の風潮が定着し「徹底的に議論を戦わすことによって、良い結論が得られる」といった考えが定着した。そして私もその考えに従い主宰する写真団体瓢蟲社の活動に、その思想を取り込んだのである。

 だが、実際に「よりよい意見」をぶっけられても、「俺の意見を否定しゃがって!」 と、憤りを感じるのが一般的な人間の反応だ。そのため議論は脳を交戦状態にすると前述したのである。

 議論などというものは、口の達者な声の大きい人が、その場を制圧する。だから私は「徹底的に議論をすれば,良い結果が生まれる」とは、単純に思っていない。

 議論慣れした人なら、自分の考えのどこが間違っているかに気付き、考え方を変えることができるが、どうも日本人は議論下手が多い。また、自分の意見は間違ったと気づいても修正したがらない。それは自分の考えは間違っていない! と100点満点の評価を期待するからだろう。

 ところが最近目にした書物に「一流の店長ほど休みを多く取る」ということが紹介されていた。内容は、自分でする仕事と、他人に任せる仕事を上手に仕分けるから、結果としてすべてを自分でやらなくても、スムーズに権限委譲ができて、チームワークがよくなり業績を上げることができた。すなわち60%の仕事しかしなくてすむ。と

 ところが真面目な人や向上心の高い人ほど、何でも自分でやらないと気が済まない。「自分がやった方が早い」と、100点満点を目標にする。しかし、こうした人には後継者は育てられないと思うのだ。

 本研究会の2016年度の総会で、活動内容の説明を聞きながら、この「一流の店長」の姿がオーバーラップした。これからも一流店長はじめ一流役員さんによろしくご教導願いたいと思った次第である。
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by yumehaitatu | 2016-03-05 17:00 | やぶにらみ | Comments(0)

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