「やぶにらみ論法」(26) 2006年6月   

堀田 義夫の「やぶにらみ論法」(26)

人のつながりの意外な縁

 5月の研究会において渋谷隆氏のご尽力で和紙の インクジェットプリント用紙のサンプルが会員に配られた。提供元は(株)コスモスインターナショナルで、社長は 新山洋一氏。渋谷氏の話から、父君は新山清氏だと 聞かされた。その新山清氏はわたしが東京写真研究会に入会した昭和32年、審査員として指導に当たられていた恩師である。以来、約15年にわたって自宅にも 招かれ大変 お世話になった方なので驚いた。
過日のプリント用紙提供のお礼をかねて当研究会の写友たちと伺い社長と面談し、昔日の思い出を語り合い、併せて「新山清遺作集」まで頂いてきた。ご子息とは 渋谷氏を介しての出会いである。
折良く自社のギャラリーにおいて企画展「新山清・ 清岡惣一・友情展」が開催されていたので鑑賞した。 同好の写友たちはもう40年も前のモノクロ写真に息を飲み、改めてフォトジェニックな影像とその研ぎ澄まされた感覚に驚きを隠さなかった。
ところが、その企画展の一方の「清岡惣一」氏は、 当会のPC分科会・応用編の講師、村木捷夫氏が現役時代、企業内の写真部で指導を受けていたということを聞いた。その清岡惣一氏と私は「東研」で赤穂英一・ 秋山青磁・伊藤蒼海・新山清氏らの指導の元で月例会の年度賞を争っていたこともあって思い出もいっぱい ある。人は意外な縁でつながっていると思った。



ところで近々発売を予定している(株)コスモスインターナショナルの「ピクトラン(和紙)」は、ちょっと変わった印刷効果のある用紙で、プリント後の表面に不思議な照りがある。インクジェットの場合、様々な紙質のプリント用紙を試せることが嬉しい。
紙は素材によって地の白色が微妙に違う。マットの ものと表面を樹脂コーティングされた光沢紙とでは色の出方も違ってくる。それを作品作りに活かせるのが   インクジェットの大きな魅力だ。「表現の幅」という点ではデジタルプリントは銀塩プリントに比べて大幅に広がっている。和紙にプリントして和風テイスト(味わい)をだすなんてことは、銀塩プリントにはなかった作品作りを楽しむことができるのである。
デジタルフォトの魅力は、撮影からプリントまで総合的に関われることだ。濃度をちょっと上げてみたらどう なるのかとか、彩度を少しいじってみたらどう変わるのか。プリントする紙の種類や用途、色調やコントラストを好きなように調整して試行錯誤することができる自由度は 大きな魅力だ。銀塩らしく印刷しなきゃ、なんて意識は捨てた方がいい。もともと表現というものに正解なんてものはないのだから……
「ピクトラン(和紙)」の特色を知るためのテストプリントをしながら、新山清→堀田義夫→渋谷隆→新山洋一→堀田義夫といった人のつながりの意外な縁をしみじみ感じ、人の輪こそ、私にとって人生の最大の財産だと改めて思った。

by yumehaitatu | 2006-06-05 15:45 | やぶにらみ | Comments(0)

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