やぶにらみ論法85 褒め上手 堀田義夫   

褒め上手                         堀田義夫
指導者失格の弁
十数年前、ある写真クラブで教えた女性が個展を開いた。作者が、青春時代を過ごした日本の原風景と遭遇したという山梨県の山村に足繁く通い、撮りためた写真が展示されていました。技術の巧拙はさておいて、作者の思い入れが強く伝わるよい展覧会だったと思いました。
作者は、「いまお世話になっている○○先生のアドバイスで、気付かされたのです」と自分の仕事の成果について語っていました。
その○○先生というのは、私の古くからの仲間です。道元禅師が「正師を得らざれば学ばざるに如かず」といったそうですが、この作者にとって、○○先生との出逢いがとてもよかったのだと思います。
一方、十数年前に指導した私は、作者のすぐれた資質に気付かず、作者にとっては通り一遍のアドバイスしかできなかったのではないかということに思いを巡らし、人を指導するということの難しさを知らされました。
私の著書「仲間に贈る人生ノート」の中に、「その人の持っている感性を見いだし、本人に気付かせる」のが指導者に必要なことだと赤穂英一先生の言葉を載せています。
そうした意味で私は落第点がつけられそうです。また、自分を特別視するな! 自分はこれだけ学んだから間違いない。だからこうなるはず。と自分の知識だけで生きるなよ。自分の知識だけを頼りに生きるということは、自己中心的な生き方にしかならない。
と同じく赤穂先生の言葉を載せました。そう書きながら、実際にはそうしたことを実行できていなかったことに気付かされました。
私が書いている「やぶにらみ論法」は正論だとは思っていません。またやってきたことを自慢するためでもありません。やりたいことを実現するための指示書なのです。だから書かれていることと、やった結果は必ずしも一致しないことは沢山あります。そのたびに反省させられます。
そうしたことを中学校の校長だった友人に話したところ、
【授業態度がよくなくて、世間一般では不良といわれるような生徒がいた。ある日の書道の時間にその生徒が書いた字を褒め「このハネはよい書き方だから真似をしてみよう」といって、ほかの生徒に真似させてみた。
そんなことを何度か続けたところ、その生徒は母親に書道を習いたいと言い出したというのです。授業態度のよくなかったその生徒は、叱られても態度を変えなかったのに、褒められることで態度が変わった】というのです。
このことは、欠点を指摘するのではなく、よいところを探す、褒めようとするとまず、そのよいところに気付くことが必要で、それができるようになった頃に定年を迎えたよ。と笑って話してくれました。
指導者は技術や知識を教えることより、その人のよいところを見つけて気付かせることだといった赤穂先生の教えが今更のように思い返されて恥かしい思いをしました。
<真夏の夜の夢>
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by yumehaitatu | 2014-09-13 17:10 | やぶにらみ | Comments(0)

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