写真雑学48 ミステーク 渡辺澄晴   

写真雑学48 ミステーク             渡辺澄晴

彫刻ミス
1972年2月6日札幌オリンピック、70メートル級(ノーマルヒル)ジャンプ競技で笠谷、金野、青地の日の丸飛行隊が金・銀・銅を独占した。その4日前の真駒内での開会式の最中、親友の嶋本啓三郎氏の死を知人のカメラマンから知らされた。嶋本氏は結婚ほやほやだった。その彼がベトナムへ発つ10日程前、2人で銀座に行き食事をした。その折「ナベさんいいものを見せてあげるよ」と、28ミリF2.8の広角レンズを差し出した。よく見ると、F2.8とあるべきF 値の彫刻文字がF2. としかなく、8の字が刻まれていない。メーカーとしては、あってはならない恥ずかしいミス。「これは申し訳ない,取り替えるよ」と、いうと、「とんでもない。こんな希少価値のレンズは絶対に手放さないよ、一流メーカーでもこんなミスがあるんだね」と、笑いながらバッグにしまいこんでしまった。 「そのレンズはベトナムに持っていくの?」 「もちろん持っていく、しかし俺もかみさんをもらったし、危険なベトナム取材はこれで終わりにするよ」。 これが私への最後の言葉だった。既にベトナムでは、ピューリッツアー賞を受賞した澤田教一カメラマン他、ジャーナリストの殉職が相ついでいた。嶋本氏の写真も死後キャパ賞を受けたが、それがあの問題の彫刻ミス35mm F2.のレンズで撮ったものかは定かではない。

誤字・脱字
1970年代はカメラ雑誌社の依頼でカメラやレンズのハウ・ツー記事をよく書いていた。今でもそうだが誤字・脱字がよくあったが、この事は本人が気づかないうちに編集担当者が直してくれていたようだ。だが編集側にも抜かりはあった。ある月の号に、『知っておきたいレンズの基本公式』という特集記事で「数値の間違えがあると」読者から電話があった。 【一本の桜の木を15mの距離から35mmの広角レンズで写したら、フイルム面に縦18mmの大きさに撮れた。この桜の木の高さは幾らになるか?】という問題。 数式で計算された答えは約8000mmつまり8m。これを8000mと書き間違えたのである。数値としては大きな違いだが、高さ8000mの木などあるわけがない。笑ってパスする問題なのに。「わざわざご指摘有難う」と、お礼を言っては見たが・・・・・・。

ねたみと揚げ足取り
どこにもちょっとした人のミスを、鬼の首を取ったように騒ぎたてるものがいる。小保方晴子・理化学研究所ユニットリーダーのSTAP論文捏造疑惑は、あのノーベル賞受賞の山中教授まで巻き込んだ。十数年前、ドイツの学術誌に発表した論文に関し、遺伝子解説画像が切り張りしたのではないかと、ネット上での指摘があったという。画像の切り張りは、いまのデジタル時代なら簡単だが当時の画像加工は未熟であり、「こんな綺麗な切り張りを山中教授に出来るわけがない。だから切り張りではない。」と、ある化学者が解説した。
とにかく難しいことはわからないが、新聞やテレビの情報だけの素人知識でも、山中教授のiPS細胞は、他の研究者によって再現されている。このことだけでも、小保方さんのSTAP細胞とは雲泥の差があると思う。
ネット上の匿名の御仁は、かなりの知識を持たれる科学者と推測するが、10数年前のこんな指摘は、ねたみとしか思えない。人の揚げ足をとる時間があるなら自分の研究に没頭してもらいたいと思う。
              <求愛>
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by yumehaitatu | 2014-06-07 20:35 | 写真雑学 | Comments(0)

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