堀田義夫の「やぶにらみ論法」73   

“おまけ”を手に入れる

 完璧だと思っても、もう一押しすれば、おまけが手に入る。 そう言ったのはトーマス・エジソンだ。
それを最近実体験した。
 50年以上指導してきた写真グループが展覧会を開くので賛助出品してくれと言う。そして出来ることなら簡単なレタッチで、作品を作ったものが好ましいと注文がついた。
そこで、過去に写した作品の中から、平成12年、オリンパスのカメディ200万画素のコンパクトデジカメで写したものを選んだ。
 レベル補正でトーンを整え、コントラストの補正のため、トーンカーブでS字カーブ・あるいは逆S字カーブと、いろいろ試みたが思うような結果が得られなかった。諦めかけてトーンカーブを滅茶苦茶にいじくり回していたら、思いもかけない効果に出逢った。それが「茜空」だ。
 やけのヤンパチでやった遊びの結果である。思わぬ効果に出逢えた嬉しさで、しばらく、こうした手法の作品を作っていた時期があった。
 だが、このようなソフトの効果に溺れて生まれた「結果オーライ」の作品では心許ない。以降は、こうした作品はお蔵入りになってしまっていた。
 とはいっても、私自身は、こうして偶然に手にした経験を否定するものではない。むしろ積極的にそうした機会を持ち、イメージの拡幅につなげることは必要だと思っている。だからこの「茜空」は、私の中の気に入った作品の一つとして、たびたび登場する。
 ところで今回、簡単なレタッチで思わぬ効果を得られるということで、出品候補に取り上げた。
だが、考えてみれば、それはソフト効果の結果であって、私の作意が反映された作品だとはいえないことに気づいた。
 満月に浮かび上がった五重塔の姿をイメージし、トーンカーブで再度レタッチして生まれたのが、今回の「満月の夜」である。「茜空」がソフトの効果で生まれた作品なら、「満月の夜」は想いが、さきに生まれ、手段は後からついてきたのである。もう一押しすれば、おまけが手に入ると言った、エジソンの言葉を実感している。
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by yumehaitatu | 2012-09-01 21:14 | やぶにらみ | Comments(0)

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