写真雑学28「デジタルを巡る熱き戦い」渡辺澄晴   

銀塩かデジタルか
 「まだまだデジタルは先の先、当分銀塩は続きますよ!」と、業界の技術者は異口同音に言っていたのが2000年ごろでした。その言葉を信じて、フイルムはまだまだ続くと思っていましたが、カメラのデジタル化は猛スピードで到来しました。2002年1月31日の日本経済新聞『暮らしの叙景』{ファインダーの向こうに}の記事を引用すると、《すい星のように現れた新人ランナーが、独走していたベテラン選手を平行する間もなく抜きさった。・・カメラ市場を席巻しているデジタルカメラと、従来の銀塩カメラの関係をマラソンに例えると、こんな表現になるだろうか》・・・まさにそのとおりでした。
 そこで時代の波に乗り遅れまいと、右も左もわからないデジタルの世界に片足を入れたのが10年前。フイルムで写したふ化したばかりのカマキリの写真をデジタル加工。おこがましくも新宿のコニカギャラリーで個展。原画は撮りためてあった銀塩フイルムで、それをデジタルに置き換えたものでした。つまりこの段階では原画のフイルムをスキャナで介してデジタル加工をしていました。

食わず嫌い
 試した事もないのに、わけもなく嫌う食わず嫌いは、このデジタルの世界になっても大勢います。出始めのデジタルカメラならともかく、今のものなら、どんな超微粒子のフイルムをもってしても画像のシャープさは比較にはなりません。撮影途中でISO感度を変えられる便利さ、撮影後すぐに画像がみられ、フイルムに代わるコンパクトフラッシュは何度も使え、作業はすべて明るいところでできること。エンボス、ソラリゼーション,覆い焼き、焼き込み等々は、銀塩時代はリスクを抱え暗い暗室内で時間をかけ作業したものだが、デジタルなら明るい場所で瞬時、納得するまで繰り返し作画ができる便利さ。アナログの作画作業を経験した者には、デジタルの有りがたさを身にしみて感じます。これからもデジタルで楽しく遊びたいと思っています。
 当初10人程度のメンバーだったこのデジタル研究会も役員の皆さんの、努力の運営により、今では60余名になりました。その発起人の一人、日本カメラ誌にデジタル加工を連載し、『Photoshopで作品づくり』などの本を出版した村岡秀男氏が1月4日に永眠されました。謹んでご冥福をお祈りします。
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by yumehaitatu | 2011-02-06 10:47 | 写真雑学 | Comments(0)

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